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9/25(日)決勝 |
9/24(土)準決勝 |
9/23(金)準々決勝 |
9/22(木)2回戦 |
9/21(水)1回戦 |
9/20(火)予選 |
観戦記事 9/23(金)準々決勝
男子シングルス準々決勝
自身の守備、堅実なラリーで納得の試合運び、銅メダリストを撃破。
ソン・ワンホ(韓国) 21-18、21-13 ビクター・アクセルセン(デンマーク)
リオオリンピック銅メダル、昨年のヨネックスオープンジャパン準優勝など、輝かしい実績を積み上げて若手世代を牽引するビクター・アクセルセン(デンマーク)が登場し、韓国のエースであるソン・ワンホと対戦した。世界ランキングはアクセルセンが4位に対しソンが8位、過去の対戦成績は3勝3敗であり、ハイレベルな戦いが予想された。
第1ゲーム、コートを大きく使ってラリーを組みたてるソンに対して、アクセルセンは長身・長い手足を活かしたアタックを仕掛けていく。スマッシュを打ってはネットに詰める形で8連続ポイントを奪うなど、11-8で折り返す。しかしディフェンス力に定評のあるソンは強打に対応し、正確なクロスリターンに勝機を見出して徐々に主導権を握っていく。我慢しきれないアクセルセンとは対照的に、堅実にラリーを制していき、9連続得点で形勢をひっくり返し、このゲーム21-18とものにする。
第2ゲームは終始ソンが掌握したゲームだったと言って過言はないだろう。相手を存分に動かし危なげなく進めていく。アクセルセンはポイントポイントで驚異的な角度のスマッシュを決める場面こそあったものの、ネット周りを中心にエラーショットが増えてしまい、ラリーに対抗できない。スピードを上げリードを広げるソンは、相手のお株を奪うかのごとくクロススマッシュでエースを奪う場面が増えてくるなど、一方的な展開で押し切った。21-13でストレート勝ちを収め、準決勝行きを決めた。
試合後ソンは「今日はコンディションもよく、守備がよかったので勝てた。明日の相手(ヤン・オ・ヨルゲンセン)は攻撃的ドライブが上手い選手だけど、しっかり準備して頑張るよ。」と、連日となるデンマーク選手との対戦に自信をのぞかせた。
女子シングルス準々決勝
ROAD TO TOKYO2020 共に東京へ。ここから再び始まる2人のライバル物語
山口 茜(再春館製薬所) 21-11、23-21 奥原 希望(日本ユニシス)
リオオリンピック準々決勝のカードが、このヨネックスオープンジャパン2016でも準々決勝で実現。共に世界の頂上に挑み続ける奥原希望(日本ユニシス)と山口茜(再春館製薬所)、昨年度大会の決勝戦のカードでもあり、最高峰の試合を求めて、多くの観客が押し寄せた。名実ともに日本を牽引する2人のライバルだが、この対戦は挑戦者である山口にとってはまだ未勝利という関門であり、その初勝利がいつになるのかも注目された。
試合は冒頭からハイレベルなラリーで幕を開ける。しっかりとクリアーを押し込んでコートを広く使ってラリーをする奥原に対し、山口は積極的にシャトルに飛びつきスマッシュをねじ込む。同じ156cmながら対照的な2人だが、それぞれの武器で点を取り合っていく。ゲームが動いたのは10-7と奥原リードの場面、山口はカットショットでエースを奪うと、ここから一気にスピードを上げ、どんな球からもスマッシュ&ネットの形を作って攻めたてる。1本、また1本と山口がラリー制すること実に13本連続、このゲームは21-13と圧倒した。
第2ゲームに入っても随所にスピード&パワーを発揮して戦う山口だが、ここから奥原も持ち味を見せる。山口の強力なショットに対応しつつ執拗なクリアー攻めでリアコートに押し込み、キレのあるストレートスマッシュ、クロスカットを沈めていく。途中山口がラリーに徹して少しスピードを抑えた部分もあるが、奥原がそのラリーを制して点を積み重ねて、16-12とする。しかしここから気を引き締めなおした山口は、奥原のクリアー攻めに耐えてストレートスマッシュをライン際に沈め反撃に出る。ネット前を高い位置で鋭く捌き、上げさせた球をジャンピングスマッシュで次々に仕留め、20-19とマッチポイントを握る。追い込まれた奥原は、冷静にドロップショットを織り交ぜて21-20と逆転しゲームポイントとするものの、ショートサーブが甘くなる、クロスに引っ張ったショットがサイドラインを割るなど最後に詰め切れない。結局 最後は山口がラウンドに飛びついてスマッシュを沈め、23-21としてこの対戦の初勝利を大観衆の前で飾った。
リオのリベンジ、このカードの初勝利を遂げた山口はシンプルに「嬉しい」と、寡黙な山口だけにこの一言にここまでのあらゆる思いが凝縮されていた。敗戦の奥原は「いつかは負ける時がくると思っていたけど、ここで来てしまったか、という感じ。でもこれで一区切り、また東京オリンピックに向けて走りだせる。」と。張りつめ続けていた思いから解放され、気持ち新たに未来を見据えて前進する。
プレー出来る喜びを原動力にステップアップを誓う!
スン・ユ(中国) 21-14、21-9 髙橋 沙也加(日本ユニシス)
髙橋は昨年10月の海外試合で右膝前十字靱帯を痛めて以来の国際大会を好発進。姉の髙橋礼華選手は「ケガをした事でいろいろ考えられるようになったし、成長させてくれたのではないか。」とエールを送る。対するスン・ユは世代交代が進む中国期待の若手で184センチの長身から放たれるショットは威力がある。1回戦、2回戦と日本勢と対戦して共に1ゲームは競られたものの2ゲーム目はあっさり下しストレートで勝ち上がってきた。
注目の第1ゲーム、髙橋は気迫十分で積極的にスマッシュやタイミングの良いクロスカットで攻撃を仕掛ける。この攻めにスン・ユはこれまでの試合とは違いラリーを主体に組み立てて対抗する。スン・ユは「自分は攻撃型ではない。」と話すが、コートに入った姿を見れば簡単に上げられないという意識が誰もが働くのではないだろうか。序盤こそ髙橋がエースショットでポイントを奪い7-7の同点にするが、中盤以降は丁寧にラリーをするスン・ユに圧倒され14-21で奪われてしまう。
第2ゲーム前半も髙橋は互角にラリーを続けていくが、細かなショットの精度に欠けて相手にポイントを与えてしまう。スン・ユは「中国選手でこれだけの身長の選手はいなかったので弱点をしいて挙げればスピードがないことかな。」と自信を評するものの、素早い動きで何度もネットプレーを見せ、最後のポイントもクロスヘアピンで決めた。髙橋は結局このゲームも9-21で奪われストレートで敗れた。
勝ったスン・ユはスーパーシリーズベスト4について「意外な結果とは思っていないし、調子もいいので力を出している。勿論この大会で優勝したいし、オリンピックでの金メダルを目指して努力する。」とコメントした。
敗れた髙橋は「一言相手は強かった。」と話した後「ケガをして辞めようかと思ったこともあったが、ここまで勝ち進めて良かった。負けて悔しいが、相手に自分の弱いところ弱い所を突かれてしまった。もっと練習して姉(髙橋礼華)の妹ではなく、一人の選手として見てもらえるように頑張っていきたい。4年後のオリンピックを目指し、1つでも多く勝って日本代表になれるよう努力したい。」と決意を述べた。
男子ダブルス準々決勝
気迫の真っ向勝負、高速ラリーを制するのはどっちだ
嘉村 健士/園田 啓悟(トナミ運輸) 16-21、21-15、21-17 佐伯 祐行/垰畑 亮太(日本ユニシス)
昨日、チームの先輩であり日本の大エースである早川/遠藤ペアをストレートで破った佐伯祐行/垰畑亮太(日本ユニシス)が、ベスト4入りをかけて昨年の全日本総合王者の嘉村健士/園田啓吾(トナミ運輸)と対戦した。嘉村/園田はドライブ中心の高速ラリーに長けており、連続攻撃が持ち味の佐伯/垰畑がどのようにアタックの場面を作り出していくかが鍵と予想された。
試合が始まり、佐伯/垰畑のとった形は「相手の得意な低空戦に真っ向からぶつかる」であった。嘉村/園田の強力なドライブの数々に、正面からラケットを立てて抑え込み、スマッシュの機会に繋げていく。この形が大いに機能し、昨日からの勢いのままに佐伯/垰畑が21-16とゲームを先取する。
第2ゲームも低空戦でスピード感のあるラリーが展開される。必死に球を抑え込む佐伯/垰畑がややリード気味に進めていき、15-12とする。このままいくかに思われたが、「サービスまわりからの先手を取りにいくことに集中した」というとおり、嘉村/園田はネット前から球をしっかり沈めてスマッシュの本数を増やし、巻き返していく。また、それまで正面で捉えられていたドライブにも変化をつけ、徐々に相手の逆を突く機会が増え、好機を作りだしては確実に決めていく。このチェンジオブペースに佐伯/垰畑は対応しきれない。嘉村/園田は脅威の9連続得点で21-15と良い形でゲームを奪い返した。
そうなると低空戦は完全に嘉村/園田のテリトリーだ。ファイナルゲーム、「自分たちのペースでゲームをすることができた」という嘉村/園田は、さらに研ぎ澄まされるショット配球、上がるスピードで相手を苦しめる。佐伯が幾度となく飛び込んで球を繋ぎ、垰畑が気迫のこもったスマッシュを打ち込むなどして応戦するも、その背中を捉えることはできない。このゲーム、リードを保ち続けた嘉村/園田が21-17として、熱戦に終止符をうった。
女子ダブルス準々決勝
連日の快勝、本当に強い!髙橋/松友の快進撃はまだまだ止まらない。
髙橋 礼華/松友 美佐紀(日本ユニシス) 21-11、21-8 ジョンコルファン・キティタラクル/ラウィンダ・プラジョンジャイ(タイ)
昨日の好発進でこの大会も大きな期待を寄せられている髙橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)が順々決勝を戦った。対するはタイのジョンコルファン・キティタラクル/ラウィンダ・プラジョンジャイ。タイペアは世界ランキング20位と、これから上位に食い込みたいポジションだが、意外にもこれが初対戦というカードであった。
試合は2回戦同様、髙橋/松友が女王らしく圧倒して進めていく。タイペアも勢いよくアタックの形を作って連打には持ち込むものの、世界屈指の鉄壁のディフェンスを打ち破ることができない。髙橋/松友はレシーブからオープンスペースを突いて一瞬のうちに攻守を逆転し、昨日同様によく決まる髙橋のスマッシュ、松友のプッシュで得点を重ね、一気に突き放していく。第1ゲーム21-11、第2ゲーム21-8と、まったく相手を寄せ付けない貫録ある試合運びで連日の完勝となった。準々決勝4試合のうち他3試合は1時間超えという中での35分での圧勝劇は、髙橋/松友の突出した強さを物語っている。
好感触のまま試合を終えた髙橋/松友だが、明日以降に向けても「とにかく自分たちのプレーを出すことが大事。それがいかに難しいことかを世界選手権などを通して経験してきているので、相手がどうこうよりも一戦一戦力を出し切って戦いたい。」と語っている。フィジカル、テクニックだけではなく、精神的にも強い彼女たちには慢心の文字はない。
試合ごとに攻守に安定感が増したペアが金メダリストに挑む!
田中 志穂/米元 小春(北都銀行) 16-21、21-15、21-19 プティッタ・スパジラクル/サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)
ナショナルB代表の田中/米元が挑むのはリオオリンピック代表で世界ランキング15位のタイペア。公式戦での対戦はないが、チームが海外合宿をタイで行った際に、お互いにペアは違ったものの練習したことがあり、相手の特徴やプレースタイルを経験値として生かしたい試合となった。
第1ゲームは田中が「雰囲気に飲みこまれそうになった。」と言うように、タイペアの攻守にわたる堅実なプレーの前に連続8ポイントを奪われるなどして4-14と大きくリードされる。特に苦しめられたのは長身のプティッタ・スパジラクルのスマッシュ、それに加えミックスダブルスも熟すサプシリー・タエラッタナチャイの安定したレシーブとネット前への飛び出しなどで圧倒される。田中/米元も後半追い上げを見せたが16-21で奪われてしまう。
しかし第2ゲームに入ると様相が一変する。「低い展開、ローボールを意識し強い球を打つように戦った。」と米元が話せば、田中は「途中で相手ネット前に出てきたので後ろに配球する臨機応変な対応ができた。」の言葉通り、連続ポイントを上げて13-6とリードする。
第1ゲームに攻め急いでミスが出た田中/米元は、我慢強くラリーを展開してテンポ良く攻める。タイペアは「戦術が変わってうまく対応出来なかった」と悔やんだ。が田中/米元が21-15で奪い返す。
ファイナルゲームに入ると田中の動きの良さに引っ張られ米元も積極的に前に出て好打を決めていく。特に相手の動きがしっかり見えていたのか、何度も逆をつくショットで体勢を崩しレシーブが甘くなった所を確実に沈めてポイントを積み重ねていく。終盤サーブ周りのミスなどで追い上げを許したが、19-19の同点から、相手のロングサーブに上手く対応した米元がスマッシュを放つと、田中がネット前に詰めてプッシュを決めてマッチポイントを掴む。最後はサプシリー・タエラッタナチャイがネットプレーをミスして結局21-19で田中/米元がベスト4に進んだ。
米元は「新しいペアでスーパーシリーズベスト4に入るのは初めてで意味ある結果だと思う。」と話せば、田中は明日の準決勝戦髙橋/松友との試合について「厳しい展開になると思うが、試合を楽しみながら頑張りたい。」と金メダリストに真っ向勝負を挑む。
混合ダブルス
銀メダリストの実力を発揮、2度目の優勝に向けて気負いなし
チャン・ペンスン/ゴー・リューイン(マレーシア) 21-17、21-18 キム・ギジュン/シン・ソンチャン(韓国)
2012年本大会優勝経験もあり、リオオリンピックでは台風の目として銀メダルを獲得した世界ランキング8位のチャン・ペンスン/ゴー・リューイン(マレーシア)と昨日の2回戦で数野健太/栗原文音(日本ユニシス)をストレートで破ったキム・ギジュン/ディン・ソンチャン(韓国)が対戦した。韓国のシン・チャンソンは女子ダブルスでリオオリンピック銅メダルを獲得しており、4人のうち3人がメダリストの豪華競演に注目が集まった。
第1ゲーム、お互いに点を取り合いが、ゴーの手堅いレシーブでオープンスペースのリターンしチャンスを作るとチャンがジャンピングスマッシュで決めるなどして13-8と主導権を握る。韓国ペアもドライブからの強打を武器に攻め立てるも、「自分たちの持ち味は、コンビネーションとローテーションの速さ」というマレーシアペアが巧みに攻守を交代させ、21-17で奪う。
第2ゲームは、細かい部分でミスが出始めたマレーシアペアに対して、気持ちを切り替えた韓国ペアはシン・ソンチャンが積極的に前に入ればキム・ギジュンの強打で試合を有利に進めていき、12-17と韓国ペアリード。このまま行くかと思われたが、「後手に回らず、低いリターンで攻撃していくことを意識した。」というマレーシアペアが反撃の狼煙を上げる。このゲーム、前衛で押され気味だったゴーが前に作り、チャンが後衛の得意のパターンで連続得点を重ねていく。結局は15-18から6連続ポイントをあげたマレーシアペアが準決勝進出を果たした。
試合後、ゴー・リューインは「いい試合ができたが、疲れた。」と振り返れば、チャン・ペンスンは「4年前に優勝しているが、特にプレッシャーはない。意識せずに一つ一つしっかりと戦っていきたい。」と語った。