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9/25(日)決勝 |
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観戦記事 9/25(日)決勝
男子シングルス決勝戦
お見事!!前人未到、6度目のタイトル獲得、リー・チョンウェイ。
リー・チョンウェイ(マレーシア) 21-18、15-21、21-16 ヤン・ウ・ヨルゲンセン(デンマーク)
バドミントン界のトップに君臨し続けているリー・チョンウェイ(マレーシア)が2年ぶりに決勝の舞台に戻ってきた。対するは昨年度ヨーロッパ選手権の王者であり、スーパーシリーズ優勝経験のあるヤン・ウ・ヨルゲンセン(デンマーク)。6月に行われたインドネシアオープン決勝でも両者の対決となり、ファイナルゲームにもつれ込む激戦の末、見事チョンウェイが勝利し優勝した。リベンジを果たしたいヨルゲンセンの意地と意地のぶつかり合いが見られた試合であった。
第1ゲーム、チョンウェイが3点連取するも、すかさずヨルゲンセンに巻き返される。その後、スマッシュの応酬となり、エースショットを互いに連発。両者一歩も引かず、ゲームが進んだ。8-11でインターバルを迎えたチョンウェイだが、それからスピードが上がった。甘くなったヘアピンや、ハイバックで入っているヨルゲンセンの返球を読み、ものすごい速さで前に詰め、プッシュを打ち決めにいった。また、エースショットのスマッシュ、スマッシュと打ち方の区別が付かないカット、ドリブンクリアーを使い分け、得点を連取していき、17-13まで点差が開いた。そのまま得点を取り、21-18で第1ゲームを先取した。
第2ゲーム序盤、スピードが十分上がっていたチョンウェイに対して、ヨルゲンセンもスピードを上げてきた。コースを突かれたスマッシュをなんとかレシーブするも、前への動きが速いヨルゲンセンにプッシュを打たれてしまう。ゲーム中盤、スマッシュで攻め、積極的に前に出て行くが、粘り強くレシーブされ、逆に体勢を崩されてしまい、得点することが出来なかった。また、12-12と点数が競っている大事な場面でショットのミスをしてしまったことで、相手に流れを作ってしまい、13-15から13-19まで連取されてしまう。終盤には、エースショットやボディーへのスマッシュで決められてしまった。そのまま点数を縮められず15-21でファイナルゲームにもつれ込んだ。
ファイナルゲーム序盤、果敢に攻めるが、ロブやネット前のショットでのミスや、ヘアピンを高い位置で取られてしまうことで、2-6と点差が開いた。しかし、「6回目のタイトルを絶対に掴む、ということだけを考えていた」と試合後に語ってくれた通り、持ち味のスピード、多彩かつ精度の高いショットを活かし、怒涛の巻き返しを果たし、11-8でチェンジエンズを迎える。その後、ヨルゲンセンのスマッシュやレシーブに苦しめられたが、リードを保った。18-16から圧倒的な強さを見せ、見事6度目の優勝を果たした。
試合後、リー・チョンウェイは、「相手選手も大会を通してよいコンディションだったと思うが、自分も今日は良いコンディションで試合を運ぶことが出来た。6回目の優勝本当に嬉しかった。」と語ってくれた。また、オリンピック後ということで注目されていたスタープレーヤーとしての今後の去就については「世界選手権を戦うのは来年で最後だと思うので、そこまでしっかり戦い抜きたい。その翌月にあたる来年のヨネックスオープンジャパンでは7回目の優勝をしてアンタッチャブルレコードを更新したいね。」と語ってくれた。
女子シングルス決勝戦
女王の座を射止めたのは"ワクワクしている"あどけなさが残る19歳
ヘ・ビンジャオ(中国) 21-14、7-21、21-18 スン・ユ(中国)
中国の若きエース対決となった決勝戦。スン・ユは山口 茜(再春館製薬所)をヘ・ビンジャオは大堀 彩(トナミ運輸)と日本勢を退けてこの舞台を迎えた。この大会のベスト8入りした選手の平均年齢は21.1歳とぐっと若返った。
スン・ユは憧れの選手は同国のリオオリンピック男子シングルス優勝のチェン・ロンと、長身で繋ぐプレーを自分自身に重ね合わせる。長い手足でコートをカバーし堅実に球を繋ぎ鋭いスマッシュを放つ。対するヘ・ビンジャオは、この試合は「家の中での戦い。」とあまり意に介さないが淡々とポーカーフェイスでゲームメイクする。
第1ゲームはお互いにネットショットが主体となる静かな流れで始まった。手足が長いスン・ユは細かなプレーにも安定感があるが、なるべく簡単にロブを上げたくないヘ・ビンジャオにとってはこのネットプレーで何とか主導権を握りたい局面が続く。その思惑通りヘ・ビンジャオが連続5ポイントを奪うなど8-2と大きくリードする。これに対してスン・ユはクリアやロブを大きく展開して流れを変えようとするが、ショットの精度が悪くミスが続いてしまう。ヘ・ビンジャオは「ネットショットをすることは相手もわかっているので前に出てきてプレッシャーを受けるが、続けることで相手に逆にプレッシャーをかけられる。」と重要性を強調する。結局21-14でヘ・ビンジャオが奪う。
第2ゲームに入ると風下(向かい風)に入ったスン・ユが思いきりのいいショットを続ける。ラリー戦に持ち込まず早めに仕掛けて要所でスマッシュを決めていく。第1ゲームあれほどネットプレーに長けていたヘ・ビンジャオにミスが出て一方的な試合となり21-7でスン・ユが奪い返す。
ファイナルゲーム序盤は流れを掴んだスン・ユが、前後左右にヘ・ビンジャオを走らせ崩し、一気に7-0とする。この点差を「リードされる局面があって自らの問題点探し出すことができ、その修正点が見つけられればいいことだし見つけられラッキーだった。」とヘ・ビンジャオがペースを上げて追い上げを見せ連続8ポイントで8-7と逆転する。一見大味な試合展開も中盤以降は1点を争う好勝負が展開される。ネットプレーにこだわり続けるヘ・ビンジャオ、スマッシュを左右に打ち分け攻めるスン・ユとのせめぎ合いは、終盤巧みなラットワークでヘ・ビンジャオが突き放し21-18で、大会初出場で初優勝の快挙を達成した。
ヘ・ビンジャオは「リードされても冷静に対応できた。今後は大きな大会で優勝したい。」と述べた上で課題として「体力はついているがまだ足りないことは否めないし、途中でミスしてリードを許してしまうことがある。強い相手だと簡単に逆転させてくれないのでしっかり自己分析して臨みたい。トップ10入り目指したい。」と目を輝かせてコメントした。
大会初出場で初優勝を飾った選手として、中国のワン・イーハン選手(リオオリンピック後引退)がいる。2008年にこの大会で鮮烈なデビューを飾り、世界のトップに君臨し、
この大会でも3度の優勝を果たしている。
今回の優勝で若手の先陣を切った形のヘ・ビンジャオにとって今後の戦いに大きな自信となることは間違いないし、20年東京オリンピックに向けて良いスタート切った大会となった。
男子ダブルス決勝戦
攻撃的なスタイルを貫いてスーパーシリーズ初優勝
リー・ジュンホゥイ/リゥ・ユチェン(中国) 21-12、21-12 キム・ギジュン/コー・スンヒュン(韓国)
3年前の世界ジュニアで優勝し、今大会が初のスーパーシリーズ決勝進出を果たしたリー・ジュンホゥイ/リゥ・ユチェン(中国)と今回初めて組む暫定ペアのキム・ギジュン/コー・スンヒュン(韓国)が顔を合わせた。韓国ペアは、別ペアで世界ランクキング2位と5位にランクづけられている経験豊かな選手たちだ。長身で21歳の若い中国ペアが経験豊富な韓国ペアに対してどのように戦うか注目が集まった。
第1ゲーム、192cmと195cmと長身の中国ペアは角度あるスマッシュを中心とした長攻撃的ダブルスに対して、韓国ペアは得意のドライブで組み立てる低い展開でそれぞれ試合に臨んだ。しっかりと準備できたという中国に対して韓国ペアは得意とするドライブ戦に対応できない。リー・ジュンホゥイが巧みな配球で前に入りチャンスを作るとリゥ・ユチェンが角度あるスマッシュを次々と決めていき、16-9とリードを奪うとそのまま21-12と奪う。
第2ゲーム目、お互いに点を取り合い6-6となるも、中国ペアは自分たちにスタイルである攻撃的なバドミントンを貫き、攻撃の手を緩めない。連続ポイントを奪い、リードを広げていく。最後はキム・ギジュンのサービスレシーブがネットにかかり21-12で中国ペアが危なげない展開で優勝の栄冠を手にした。
試合後、リー・ジュンホゥイが「優勝できて嬉しい。」と話せば、リゥ・ユチェンは「一皮剥けた大会となった。デンマークオープン、スディルマンカップがあるので、一つ一つがんばっていきたい。」と話した。先輩であるフー・ハイファン/カイ・ユンペアを目標としているこのペア、今大会のスーパーシリーズ初優勝を足がかりにさらなる飛躍を期待したい。
女子ダブルス決勝戦
雪辱果たせり、ペダセン/リター・ユールがリオの再戦を制し、歓喜の初優勝。
クリスティナ・ペダセン/カミラ・リター・ユール(デンマーク) 19-21、21-18、21-12 松友 美佐紀/髙橋 礼華(日本ユニシス)
日本中が歓喜したリオオリンピック金メダル獲得から1ヶ月、ヨネックスオープンジャパン2016決勝戦にて同じカード、すなわち松友美佐紀/髙橋礼華(日本ユニシス)とクリスティナ・ペダセン/カミラ・リター・ユールが実現、リオの再現を目撃しようと6,000人を超えるバドミントンファンがここ東京体育館に詰めかけた。
第1ゲーム、ラブオールプレーと同時に緊迫した長いラリーが繰り広げられ、観客を魅了する。昨日92分の試合を戦った疲れを感じさせないペダセン/リター・ユールの圧倒的なアタックに、コンビネーションと配球で応戦する髙橋/松友、頂上決戦に相応しい一進一退の攻防で点を取り合う。上手く相手にハイバックを打たせて攻撃に持ち込むなど、効果的にポイントを奪った松友/髙橋が17-19の場面から4連続得点、21-19でゲームを先取する。
第2ゲームは流れが行き来する展開となる。どちらが先に引き離すのか読めない状況で進んでいくが、松友/髙橋が15-16と1点ビハインドの場面、リター・ユールのクロスカットがライン際決まり、空気が変わった。松友/髙橋はショットの精度を保てず、逆に攻め立てられてしまい、ペダセン/リター・ユールが21-18でこのゲームを取り返した。そう、1か月前と同じファイナルゲーム勝負になったのだ。
迎えたファイナルゲーム、先行したのはペダセン/リター・ユールだった。「私たちは今大会もタフな試合を勝ち抜いてきたので、タフな展開では後半に分があると思っていた」というとおり、5-5の場面から、4本連続スマッシュでポイントをあげるなど6連続得点で11-5としてチェンジエンズ。盛り返したい松友/髙橋だがサービス周りで苦しみ、流れを引き寄せられない。ペダセン/リター・ユールは点数を重ねるごとにますます動き、ショットのキレを増していき、20-9とマッチポイントを握る。「再びの逆転劇を!」会場のファンたちは揃って願ったことだろう。それに応えるかのように、松友/髙橋は「らしさ」を見せてトップアンドバックの形で連続ポイントをあげる。しかし、今回ばかりは時すでに遅し、最後はロングサービスに対してリター・ユールがスマッシュ連打でシャトルを沈め21-12、ペダセン/リター・ユールがリオの雪辱を果たし、喜びを爆発させた。
試合後の会見で注目が集まったのは、引き続きスーパーシリーズ転戦予定の両ペアの今後の目標についてである。リター・ユールは「まずは今日、いっぱい日本食を食べたい。」とおどけてみせた。競技については「これから新たな目標を決め、具体的設定していく必要があるが、まずは目先のトーナメントでも決勝戦まで行きたい。」ということであった。対して松友/髙橋は「悔しい思いをしてきた世界選手権で結果を出したい。」と語っており、これからも益々強くなるタカマツペアを見られそうだ。
混合ダブルス決勝戦
新星誕生、中国の19歳ペアが世界1位を撃破し、嬉しい初優勝を飾る。
ジェン・シーウェイ/チェン・チンチェン(中国) 21-10、21-15 コー・スンヒュン/キム・ハナ(韓国)
2度目のスーパーシリーズ決勝戦進出となった19歳ペア、ジェン・シーウェイ/チェン・チンチェン(中国)が世界ランキング1位のコー・スンヒュン/チェン・チンチェン(韓国)に挑んだ。1回戦から厳しい戦いの中勝ち上がってきたジェン/チェンに対してコー/キムはいずれも完勝を収めてきての決勝戦、分は韓国ペアにある、若手ペアがどのように食い下がるかが期待された試合であった。
いざ試合が始まってみると、「今日は相手を打ち砕く気持ちで戦った」というジェン/チェンが圧倒的な攻撃でゲームを支配していく。コー・スンヒュンが男子複と合わせて今大会10試合目という疲れがあるのだろうか、韓国ペアは本来のプレーを出せないままに防戦状態が続く。ジェン・
シーウェイのスマッシュが面白いように決まる中国ペアが21-10で簡単にゲームを奪う。
第2ゲームに入ってもジェン/チェンが徹底したアタックでゲームを進めていく一方、コー/キムも豊富な経験のなせる業か、強打を集中される女性のキムが粘り強く、スペースを使ってかわすレシーブで耐えれば、コーは間を詰めて甘い球をねじ込んでいく。11-9と接戦の様相を呈してゲ
ームを折り返す。しかし、若き新鋭の実力は底知れぬものがあった。後半になるとチェン・チンチェンがハーフコート、リアコートでジャンプスマッシュを連発、より攻撃的なスタイルで得点を伸ばしていく。コー/キムはこの怒涛のアタックを受け止めきれず、最後もチェンのジャンプスマッシュで作り出した甘い球をジェンが沈め、21-15。ジェン・シーウェイ/チェン・チンチェンがスーパーシリーズ初優勝、新鋭ペアが新星ペアになった瞬間である。
念願の初優勝を飾ったジェン/チェンは「2度目のスーパーシリーズ決勝戦で勝利を掴めてうれしく思う。今日は素直に力を出し切れた。」と納得の表情を見せた。また、後については「まずはランキングを8位以上に引き上げて、スーパーシリーズファイナルに出たい。」と堅実ながら強い意志を語ってくれた。