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大会展望4
大会ドローが発表!
リオを戦った選手たちが激突する
8月31日にドローが公開され、ヨネックスオープンジャパンの出場選手が決まった。ここでは日本にやってくるトッププレーヤーの顔ぶれと試合の見所を紹介する。
髙橋&松友、奥原が凱旋!
メダリストの実力を見せつける
「『バドミントン、おもしろいから観たい』って言われたんです」
女子ダブルスの髙橋礼華(日本ユニシス)は、リオ五輪で金メダルを獲得したあと、選手村で多くの日本選手からこう声をかけられたという。
「だから、ヨネックスオープンジャパンをホントに観に来てくださると思うんです!」(髙橋)
リオ五輪での髙橋/松友、奥原希望(日本ユニシス)のメダル獲得で、いまバドミントンは注目度が高まっている。今年のヨネックスオープンジャパンは満員御礼が予想され、会場にはたくさんのファンが詰めかけそうだ。
女子ダブルス決勝はリオの再現なるか
第2シードは銀メダルのデンマークペア
もっとも観客のお目当てになるであろう女子ダブルスは、バドミントンファンが喜ぶ最高の顔ぶれとなった。
金メダリストの髙橋/松友(日本ユニシス・WR1位)が第1シードで登場するのはもちろん、リオの決勝で激戦を演じたデンマークの長身ペア、クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(WR5位)も第2シードに鎮座。順調に勝ち進めば、両者は決勝で当たり、リオの激闘が再現される。
リオ五輪では、日本ペアが決勝3ゲーム16-19から5連続得点に成功し、"奇跡"を演じた一方で、逆転を許したデンマークペアは、「できることなら19-16からやり直したい」と嘆いた。
ヨネックスオープンジャパンは、五輪後、初のスーパーシリーズとなるだけに、デンマークペアは、日本の髙橋/松友とはどこに差があったのか勝って確かめたいはずだ。
もちろん2ペアが決勝に進むまでに、難敵が立ちふさがる。髙橋/松友にとって最初の難関は、リオ五輪の予選リーグで対戦したエーフィア・ムスケン/セリナ・ビーク(オランダ・WR10位)。
リオではストレート勝ちを収めたとはいえ、スーパーシリーズでコンスタントに8強入りする実力は侮れない。
さらにここを抜けても髙橋/松友には第4シードの福万尚子/與猶くるみ(再春館製薬所・WR9位)が待っている。
5月、五輪レース最後の戦いとなるアジア選手権の決勝で福万/與猶は、髙橋/松友に敗れて五輪出場権を逃しただけに、ヨネックスオープンジャパンは悔しさを晴らす大舞台になる。髙橋/松友にとっては福万/與猶の並々ならない勝ちたい執念がやっかいだ。順調に行けば準決勝で当たる。
反対側の山では、中国のルオ・イン/ルオ・ユー(WR6位)が優勝候補に数えられる。25歳の双子ペアは、リオ五輪の予選リーグで銀メダルを獲得したペダーセン/リタ・ユールに勝ちながらも、韓国戦を落とし、決勝トーナメントに進出できなかった。
ヨネックスオープンジャパンでは、双子ペアがデンマークペアと再び相まみえる可能性が高い。双子が準決勝でデンマークペアに勝って、決勝に上がってくる場合も考えられる。
決勝が、リオ五輪では見られなかった髙橋/松友VS中国の構図になれば、それもまたリオ決勝とは違ったおもしろさになるだろう。
金・銀・銅がそろい踏み
女子シングルスも熱い!
リオ五輪のメダリストが全員、揃ったのが女子シングルスだ。金メダルのキャロリナ・マリン(スペイン・WR1位)、銀メダルのP. V. シンドゥー(インド・WR10位)、そして銅メダルの奥原希望(日本ユニシス・WR3位)という豪華メンバーは、バドミントンファンなら必ず観てみたい面々だ。
まず豪華すぎて非常にもったいないのは、リオ五輪で金メダルを争ったマリンとシンドゥーがおそらく準々決勝で当たってしまうこと。170センチを超える攻撃型の2人が打ち合う様子は女子シングルスの次元をまるで超えている。
絶対に見逃してほしくない対戦をあげるとすれば、間違いなくこのカードだ。
さらにこの対戦の勝者と対戦するのは、今年のスーパーシリーズで3大会連続優勝を飾っているラチャノック・インタノン(タイ・WR5位)か。リオ五輪では、日本の山口茜(再春館製薬所)に敗れたが、安定した実力は誰もが認めている。
もう一方の山でも "もったいない"カードがある。日本の奥原希望と山口茜の対戦だ。
2人が当たるとすれば準々決勝。リオ五輪では、奥原が対戦成績を6戦6勝に伸ばしているが、山口も1ゲームは奪い、「茜ちゃんの勝ちたいという強い気持ちがすごくて…」と勝つのに手こずった。
ヨネックスオープンジャパンでも、2人の気迫のこもった戦いが見られそう。
今大会に先立ち、山口は「昨年の準決勝はけっこう熱い試合をして会場の皆さんに盛り上がってもらえたので、今年も楽しんでもらえる試合をしたい」と語っている。
奥原もまた意気込む。
「ヨネックスオープンジャパンは、日本のファンの皆さんの前でプレーできる数少ない機会。1回戦からひとつずつ集中していきます」
奥原と山口のいずれかは、準決勝で2012年の女王タイ・ツーイン(中華台北・WR7位)とあたる可能性が高いが、無事、乗り越えて決勝に挑んでほしいところだ。
リー・チョンウェイ、アクセルセンが来日
見応えある男子シングルス!
男子シングルスも豪華な顔ぶれが揃った。リオ五輪優勝のチェン・ロン(中国・WR2位)、今大会3回優勝のリン・ダン(中国・WR3位)は来日を控えたが、世界ランキングトップ16のうち、13人もが日本で戦う。
なかでも注目は「この大会には特別な思い入れがある」と毎年、欠かさず日本にやってきて、最多の5回優勝を遂げているマレーシアのリー・チョンウェイ(WR1位)だ。
リオ五輪では、3大会連続銀メダルに終わり、「がっかりだ…」と肩を落としたが、10年以上、トップに居続けているのは偉業としかいえない。
今回も鮮やかなスマッシュ&ネットで超人ぶりを見せつけてくれそうだ。
この33歳に対抗するのは、22歳のビクター・アクセルセン(WR4位)で、ヨネックスオープンジャパンでは第2シードに就いた。
リオ五輪の準決勝でこそ、チェン・ロンに敗れたが、3位決定戦では3大会連続五輪Vをねらった"スーパーダン"こと、リン・ダンを3ゲーム目を21-17の死闘で破っている。
「こんなに幸せなことってない!」
泣いて喜んだ194センチは、今後、バドミントン界の中心になっていくのは間違いなく、人並み外れた破壊力を日本でも見せつけてくれるだろう。
男子シングルスは、このメダリストたちをデンマークのヨルゲンセン(WR5位)、中国のティアン・ホーウェイ(WR6位)らが追うという構図で、序盤からバドミントンファンに"異次元"の戦いを約束してくれる。
韓国のソン・ワンホ(WR8位)、インドネシアのトミー・スギアルト(WR9位)といった個性豊かな面々も大会を華やかに彩る。
なお日本からは、世界ランク最上位の佐々木翔(トナミ運輸)がリオ五輪での引退を表明しており、残念ながら今大会にはエントリーしていない。
しかし、常山幹太(トナミ運輸)、西本拳太(中央大)といった若手の予選からの出場が決まっており、世代交代をアピールしたいところだ。
混戦必至の男子複&混合複
新たな星が誕生するか!?
リオ五輪では次々と本命が敗れた男子ダブルスと混合ダブルスは、ヨネックスオープンジャパンでも混戦になりそうだ。
男子ダブルスは、第1シードにリオ五輪4位のチャイ・ビャオ/ホン・ウェイ(中国・WR4位)が就き、準決勝でリオ五輪の日本代表、早川賢一/遠藤大由(日本ユニシス・WR8位)と当たるだろうという配置になった。
日本のエースはこの第1シードにリオ五輪の初戦でファイナル23-21で勝っており、初優勝に向け、気合を高めている。
早川は、日本のファンのためにと語る。
「リオでは、ケガで最高のパフォーマンスができなかった。ヨネックスオープンジャパンでは応援してくれた日本のファンの方々に、自分たちの最高のパフォーマンスが見せられるように頑張りたい」
さらに遠藤は、「いいパフォーマンスが出せるように、合宿でしっかり頑張ります」。
リオ五輪の予選リーグで格上を次々に突破したパフォーマンスが出せれば、2人が目標にしてきた初優勝も夢ではないだろう。
一方、もう一つの山では、銀メダルのゴー・Vシェム&タン・ウィーキョン(マレーシア・WR9位)、世界王者のヘンドラ・セティアワン/モハマド・アッサン(インドネシア・WR5位)、デンマークのマシアス・ボー/カルステン・モゲンセン(WR7位)といった実力ペアがひしめく激戦区になった。
どのペアが勝ってもおかしくない状況で、激しい打ち合いを制するのは誰か、実際に会場で確かめてほしい。
なお、混合ダブルスは、銀メダルのチャン・ペンスン&ゴー・リューイン(マレーシア・WR8位)、世界ランク2位のコー・スンヒョン/キム・ハナ(韓国)、インドネシアのパラフィーン・ジョーダン/デビー・スサント(WR4位)がエントリーし、これが世界の強さだという姿を見せつけてくれそうだ。
日本からは、リオ代表の数野健太/栗原文音(日本ユニシス・WR14位)も出場する。2回戦ではおそらくイングランドのクリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(WR7位)、準々決勝ではチャン・ペンスン&ゴー・リューインと当たりそう。
苦戦を強いられそうだが、栗原は、「今年も自分らしくプレーしてできるだけ多く試合ができるように頑張るだけです」と声は明るい。
なお、日本代表チームは、今後、若い渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス・WR67位)を育ててきたいという意向を持っている。
混合ダブルスの第一人者になった数野は言う。
「僕らは組んで1年4カ月でここまで来た。東京五輪でもしっかり作り上げればメダルは狙える種目になる」
これから渡辺/東野がどんなふうに育っていくのか。今大会の本戦に出場し、いまスタートラインに立とうしている2人が、4年後に向かってどんなプレーをするか、チェックすれば、大会観戦がいっそうおもしろくなるだろう。
*世界ランキング(WR)は8月25日付